水道事業ガイドライン
水道事業ガイドラインの概要
水道事業ガイドラインは、水道事業の事業活動全般を分析・評価するための規格であり、水道事業の定量化(指標化)による水道サービス水準の向上のために制定されたものです。
このガイドラインは、水道サービスの目的を達成とサービス水準の向上を図られるよう、「安全で良質な水」、「安定した水の供給」、「健全な事業経営」の3つの目標からなる119項目の指標が設定されています。
各水道事業体の事業活動を取り巻く背景(水源、地理的条件、施設の規模、自然災害など)は様々であるため、ガイドラインにおける各指標値の基準値(ベンチマーク)は定められていません。
平成17年(2005年)1月に全国統一規格として公益社団法人日本水道協会が制定し、平成28年(2016年)3月に改正されました。当企業団では、この業務指標を毎年公表して事業経営の透明性を確保し、効率的な経営とサービスの向上に役立てています。
業務指標の分類
目標 | 分類 | 主な指標内容 | 区分 | 項目 |
---|---|---|---|---|
A)安全で良質な水 | 運営管理 | ・水源から給水栓までの水質監視、管理 ・原水水質に適した浄水処理 ・適切な水質検査の実施及び検査結果の確認 |
A-1)水質管理 | 9項目 |
A-2)施設管理 | 5項目 | |||
A-3)事故災害対策 | 2項目 | |||
施設整備 | ・給水栓における水質の向上に向けた適切な 浄水処理、管路の維持管理 |
A-4)施設管理 | 1項目 | |
B)安定した水の供給 | 運営管理 | ・地盤沈下の防止と地下水の利用 ・施設の適正な運転及び継続的な維持、保全 ・迅速な事故対応及び適切な措置 ・省エネルギー策の推進 |
B-1)施設管理 | 17項目 |
B-2)事故災害対策 | 11項目 | |||
B-3)環境対策 | 6項目 | |||
施設整備 | ・水道施設の強靭性の確保を推進 ・迅速な事故対応及び適切な措置 |
B-4)施設管理 | 2項目 | |
B-5)施設更新 | 5項目 | |||
B-6)事故災害対策 | 16項目 | |||
C)健全な事業経営 | 財務 | ・効率性、経済性を考慮した業務運営 | C-1)健全経営 | 27項目 |
組織・人材 | ・職員の能力の向上 ・水道技術の継承の促進 |
C-2)人材育成 | 7項目 | |
C-3)業務委託 | 2項目 | |||
お客さまとの コミュニケーション |
・お客さまニーズの把握と情報公開の推進 | C-4)情報提供 | 3項目 | |
C-5)意見収集 | 6項目 |
指標の算出結果
当企業団では、お客さまから信頼される事業運営をめざして経営情報を積極的に公開しています。令和3年度(2021年度)から令和5年度(2023年度)までの3か年の各指標の算出結果は、次のとおりです。
A)安全で良質な水
【水道水の安全性をより一層高め、良質な水道水を供給するための指標】
「平均残留塩素濃度」は0.41mg/Lで水道法上必要な残留塩素濃度を確保しながら、塩素臭の発生の減少に努めています。また、「水源の水質事故件数」は0件であり、水源の水質に汚染がなかったことを示しています。今後も適切な水質管理等に努め、安心・安全な水道水を提供していきます。
B)安定した水の供給
【いつでもどこでも安定的に水道水を供給するための指標】
「有収率」は昨年度と同じ98.0%となりました。一般的には100%に近いほど施設の効率性が良いとされており、相対的に高い水準で推移しています。
また、導・配水管のうち地震に強い耐震管が占める割合を示す「管路の耐震管率」は昨年度よりも0.7%上昇し、50.9%となりました。
首都直下型地震の発生が想定される中、引き続き水道施設の耐震化や更新を計画的に進めることで、施設の安全性及び信頼性を高めつつ、災害に強い水道インフラの構築に努めてまいります。
C)健全な事業経営
【健全かつ安定的な事業経営を継続するための指標】
財務状況を判断する指標のうち、「営業収支比率」、「経常収支比率」及び「総収支比率」がいずれも100%を超えており、給水収益が減少傾向にあるなかで費用の抑制等を図り、健全な経営を維持しています。また、「料金回収率」も100%を上回り、事業に必要な費用を水道料金収入で賄えています。
今後も引き続き効率性、経済性を考慮しつつ、健全な事業経営に取り組んでまいります。